
木目調・石目調・リン酸処理風といった模様塗装(意匠性塗装)は、株式会社ユーコーに寄せられるご相談のなかで最も多い分野です。一方で、単色の塗装と違い「どの模様で、どこまでの範囲を、どこで仕上げるか」が依頼の時点で固まっていないと、可否の判断にも見積りにも時間がかかります。
この記事は、施設の内装材や設備部材に模様塗装を検討し、社内で発注の準備を進めている担当の方に向けたものです。依頼の前に決めておくと話が早く進む4つのことと、見積りが何で決まるかを順に整理します。
模様塗装の依頼前に決めておく4つのこと
先に決めておきたいのは、対象物、柄と色の基準、施工場所、数量・範囲と納期の4つです。すべてを確定させる必要はありませんが、どれが未定なのかが分かっているだけでも、最初のやり取りで確認すべき点が絞れます。
| 項目 | 決めておくこと | 決まっていないと起きること |
|---|---|---|
| 対象物 | 素材・形状・大きさ・使う場所(屋内か屋外か) | 下地処理と塗料の組み合わせが決まらず、可否を回答できない |
| 柄と色の基準 | 模様の種類、色の指定方法、見本で確認するかどうか | 仕上がりの認識がずれ、やり直しの原因になる |
| 施工場所 | 持ち帰って塗るか、現地で塗るか | 工程・工期・費用の前提が変わる |
| 数量・範囲と納期 | 枚数・面積、全面か部分か、希望時期 | 工程が組めず、日程を回答できない |
1. 対象物:素材・形状・大きさ・使う場所
模様塗装は、木材や石材ではない素材に木目や石目の見た目を与える塗装です。株式会社ユーコーでは、鉄・アルミ・ステンレス・亜鉛メッキなど各種の素材に対応しています。素材によって塗料を密着させるための下地処理(脱脂、リン酸処理、ブラストなど)が変わるため、最初に素材が分かっていることが判断の出発点になります。
- 素材:図面や仕様書で分かる範囲で構いません。分からない場合は写真で判断します。
- 形状と寸法:平らな板か、曲面や凹凸があるか。おおよその寸法と重さ。
- 使う場所:屋内か屋外か、人の手が触れるか、清掃の頻度。上塗りの選び方に関わります。
そもそも模様塗装に向く対象かどうか迷っている段階でも、この3点が分かれば可否の見通しをお伝えできます。
2. 柄と色:基準を何で渡すか
模様塗装には次のような種類があります。名前が同じでも、色の重ね方で印象は大きく変わります。
- 木目調
- 石目調(大理石など)
- リン酸処理風
- 鉄錆・青銅色
- 古美色
- 上記以外の特殊塗装

この記事の写真は、すべて当社の塗り見本です。対象物の形や大きさによって異なりますが、基本的には実際の案件でも同じ仕様で施工できます。
柄と色の基準は、次のどれで渡すかを決めておくと確認が早くなります。
| 基準の渡し方 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 現物(既存の部材・サンプル) | 既存の柄に合わせる、追加の部材を揃える | 既存部材は使用環境によって色が変化していることがある |
| 写真・カタログ | 新しく柄を決める | 画面や印刷で色の見え方が変わるため、色は写真だけで決めない |
| 色番号(日塗工・RAL) | ベースの色や主となる色を指定する | 模様は複数の色を重ねてつくるため、番号は主となる色の指定に使う |
株式会社ユーコーでは、ご依頼の前に見本(試し塗り)を作成し、仕上がりを確認していただくことができます。施工事例でも、天井用アルミパネルの木目調塗装では、色味のサンプルを確認したうえで仕上がりを決めています。見本で確認するかどうか、確認して承認する人(設計者・発注元など)が誰かを依頼の時点で決めておくと、工程を組みやすくなります。また、模様は手作業でつくるため、複数のパネルを並べたときの色や柄の揃え方も、事前に決めておきたい項目です。
既存の柄に合わせる場合の考え方は「既存柄と同じ模様は再現できる?素材別に再現精度と色差リスクを判断する基準」で詳しく説明しています。
3. 施工場所:持ち帰るか、現地で塗るか
施工場所は、仕様によっておおむね決まります。焼付塗装の仕様で仕上げる場合は炉などの設備が必要なため持ち帰り、それ以外は現地で塗ることが多くなります。
| 持ち帰り(工場で塗装) | 現地(出張塗装) | |
|---|---|---|
| 向く対象 | 取り外せる部材、焼付塗装の仕様で仕上げるもの | 取り外せない部材、大きな面、据え付け済みのもの |
| 対応エリア | 関西圏が基本。持ち込みいただける場合は地域を問わず対応 | 全国(北海道から沖縄まで出張実績あり) |
| 決めておくこと | 取り外し・運搬を誰が行うか | 作業できる時間帯(稼働中・夜間・休日の可否)、養生の範囲 |
稼働中の施設での作業や、夜間・休日の施工にも対応しています(要相談)。大きなパネルを現地で塗る場合の条件は「大きなパネルでも模様塗装できる?出張・現場施工の可否とポイント」、アルミパネルを焼付と現場塗装のどちらで仕上げるかは「アルミパネル木目調塗装は可能?失敗しない2工法の選び方」で扱っています。
4. 数量・範囲と納期
全面を塗るのか、傷んだ一部だけを塗るのか。何枚、何平方メートルあるのか。いつまでに仕上げたいのか。この3点で工程の組み方が変わります。対応できるロット・サイズ・納期は仕様によって変わるため、一律の数字ではなく、仕様をうかがったうえで回答しています。

模様塗装は色を重ねてつくるため、工程ごとに乾燥の時間が必要です。塗装不良が懸念されるほど乾燥・養生の時間を削る短納期のご依頼は、お受けできないことがあります。希望時期が決まっている場合は、早めにご相談いただくほど選べる工程の幅が広がります。
模様塗装の見積りが決まる要素
個別の金額は仕様によって大きく変わるため、この記事では示していません。代わりに、見積りが何で上下するかを整理します。
| 要素 | 費用が変わる理由 |
|---|---|
| 面積・数量 | 塗る量と作業時間がそのまま変わる |
| 形状 | 曲面・凹凸・入り組んだ形は、手作業の時間と養生の手間が増える |
| 柄の種類と重ねる色の数 | 色を重ねる回数が工程数になる |
| 下地の状態と前処理 | 既存の塗膜の傷み、錆、素材によって下地処理の内容が変わる |
| 施工場所 | 持ち帰りは運搬、現地は移動・養生・作業時間帯の条件が加わる |
| 見本の有無と回数 | 見本を作って確認する場合は、その工程と期間が加わる |
なお、仕様を問わず金額だけで比較するご依頼は、仕上がりの責任を持てないためお断りすることがあります。仕様を一緒に決めるところからご相談ください。
模様塗装の依頼時に用意していただきたい情報
次の情報がそろっていると、可否と概算を早くお伝えできます。すべてそろっていなくても構いません。
- 対象物の写真(全体と、表面の寄り)
- おおよその寸法と数量
- 素材(分かる範囲で)
- 使う場所(屋内・屋外、人の手が触れるか)
- 希望の柄・色の基準(現物、写真、色番号のいずれか)
- 持ち帰りか現地か、現地の場合は作業できる時間帯
- 見本(試し塗り)で確認したいかどうか
- 希望時期
- 図面(あれば)
株式会社ユーコーの模様塗装
株式会社ユーコーでは、木目調・石目調・リン酸処理風・鉄錆・青銅色・古美色などの模様塗装を、金属をはじめとする各種素材に施工しています。取り外せる部材は持ち帰り、据え付け済みのものや大きな面は現地で、仕様に合わせて施工方法を決めます。対応できる模様の種類と使い道は株式会社ユーコーの模様塗装のページにまとめています。
実際の施工は、次の事例でご覧いただけます。

まとめ
模様塗装の依頼では、対象物、柄と色の基準、施工場所、数量・範囲と納期の4つを先に決めておくと、可否と見積りの回答が早くなります。とくに柄と色は、何を基準にするか、見本で誰が確認するかまで決めておくと、仕上がりの認識のずれを防げます。未定の項目があっても、どこが決まっていないかを添えてご相談ください。
工場・プラントの塗装、設備機械の塗り替え、焼付・粉体塗装のご相談を承っています。
図面や現況写真をお送りいただければ、可否と概算のご回答が可能です。
お電話:072-800-8107(平日9:00〜17:30)
事業内容を見る
執筆:株式会社ユーコー(工場・設備の塗装と補修/大阪府大東市)