
配電盤塗装は、錆や塗膜の劣化から盤の筐体を守り、内部の機器へ水分や腐食が及ぶのを防ぐためのメンテナンスです。
この記事では、工場やビルの設備担当の方に向けて、配電盤塗装の役割、塗り替えを検討する劣化のサイン、実際の工程、費用が変わる要素を順に整理します。停電の要否と作業の段取りは「配電盤の塗装を止めずに進める方法」で詳しく扱っています。
配電盤塗装の役割

配電盤の筐体は金属製のため、塗膜が防錆の第一の層になります。配電盤塗装の役割は、主に次の3つです。
- 防錆・防食:塗膜で金属の素地を覆い、錆や腐食の進行を抑えます。屋外や湿気の多い場所に置かれた盤ほど重要です。
- 水分の侵入を防ぐ:塗膜のひび割れや剥がれ、錆による穴は、盤の内部へ水分が入る経路になります。
- 識別と表示の維持:色分けや表示の視認性を保つことで、日常の点検や操作を安全に行えます。
配電盤塗装を検討する劣化のサイン
塗り替えの判断は、塗膜がどこまで傷んでいるかで変わります。目安は次のとおりです。
| 劣化のサイン | 状態 | 主な対応 |
|---|---|---|
| ツヤ引け・色褪せ | 塗膜の表面が劣化している。素地はまだ守られている | 軽研磨(ケレン)のうえ再塗装 |
| 点錆・塗膜の浮き | 塗膜の下で錆が始まっている | 錆を除去し、錆止めから塗り直す |
| 広い範囲の錆・剥がれ | 旧塗膜が防錆の役目を果たしていない | 旧塗膜と錆の除去。部品を外して処理することもある |
| 腐食による穴・変形 | 塗装だけでは直らない可能性がある | 板金補修や盤の更新も含めて判断 |
錆が出た盤を再塗装で延命できるか、交換を考えるべきかの見極めは「配電盤の錆は再塗装で止まる?キュービクルを含む盤の錆の段階と見極め方」で解説しています。

配電盤塗装の工程
当社の配電盤塗装は、おおむね次の順で進めます。
- 現地確認:設置場所、稼働状況、停電の要否、表示や銘板の位置を確認します。
- 養生:開口部・配線・丁番・鍵などの可動部、表示や銘板を塗りつぶさないよう覆います。
- ケレン(下地処理):錆と傷んだ旧塗膜を除去します。ツヤ引けだけなら軽研磨で密着を高めます。
- 下塗り:錆止めを入れて素地を保護します。
- 上塗り:設置環境に合った塗料で仕上げます。
- 養生の撤去と確認:可動部の動きや表示の見え方を確認して引き渡します。
通電している部分の近くで作業する場合の安全対策は、停電の要否とあわせて事前に決めます。

配電盤塗装の費用が変わる要素

配電盤塗装の費用は、盤の大きさや面数だけでは決まりません。主に次の要素で変わります。
- 劣化の程度:ツヤ引けだけか、錆や旧塗膜の除去が要るか
- 設置場所:屋内か屋外か、高所や狭い場所か
- 稼働状況:停電できる時間帯、夜間・休日の作業が必要か
- 養生の範囲:表示・銘板、開口部、周囲の設備をどこまで覆うか
- 部品の扱い:部品を外して処理するか、取り付けたまま塗るか
- 色の指定:既存の色に合わせるか、指定色があるか(日本塗料工業会「塗料用標準色」の番号で指定いただくと色合わせが確実です)
このため当社では一律の単価表は設けず、現地確認または写真をもとに個別にお見積りしています。
配電盤塗装の施工事例
当社が実際に行った配電盤の塗り替えから2件を紹介します。
事例1:色褪せとツヤ引けを解消した再塗装
錆は出ていなかったものの、ツヤ引けと色褪せが目立っていた配電盤です。開口部・配線部分・丁番・鍵を塗りつぶさないよう養生し、軽研磨のケレンで密着を高めてから、耐久性の高いウレタン塗料で仕上げました。
事例2:錆の除去から再塗装まで行った塗り替え
旧塗膜の剥がれと錆が細かな部品まで進んでいた配電盤です。部品を分解して錆を除去し、防錆力の高い塗料で塗り直しました。

キュービクルや制御盤の事例は施工事例一覧をご覧ください。
配電盤塗装を依頼するときの確認点

- 電気設備の塗装実績:配電盤・キュービクル・制御盤の施工事例があるか
- 停電と安全対策の説明:停電の要否、作業時間帯、通電部への対策を事前に示してもらえるか
- 下地処理の明記:見積りにケレンや錆止めの工程が書かれているか。下地処理が不十分だと、早い時期に錆が再発します
- 養生の方法:表示・銘板・可動部をどう保護するか
株式会社ユーコーができること
株式会社ユーコーは大阪府大東市を拠点に、配電盤・キュービクル・制御盤などの設備・機械塗装を行っています。設置したままの盤を現地で塗る作業にも対応しています。停電の可否や作業できる時間帯をうかがったうえで、工程と工期をご提案します。
配電盤以外の機械・配管・タンクも含めて、設備塗装の塗料と工法が何で決まるかは設備塗装とは?建築塗装との違いと、塗料・工法が決まる条件で解説しています。
配電盤塗装でよくあるご質問

Q1. 塗装の間、停電は必要ですか?
盤の外面だけを塗る場合と、内部や通電部の近くまで作業する場合で異なります。停電が要る範囲・要らない範囲は「配電盤の塗装を止めずに進める方法」で整理しています。現地確認の段階で、停電の要否と作業時間帯を決めます。
Q2. 塗り替えの周期はどのくらいですか?
設置環境(屋外か屋内か、湿気や塩分の多い場所か)と使う塗料で大きく変わるため、一律の年数はお伝えしていません。ツヤ引けや点錆が出た段階で点検し、錆が広がる前に塗り替えるのが確実です。
Q3. キュービクルや制御盤も対象ですか?
対象です。屋内・屋外の配電盤のほか、キュービクルや制御盤の塗装も行っています。
Q4. 工期はどのくらいですか?
面数、劣化の程度、塗料の乾燥時間、停電できる時間帯で変わります。現地確認または写真を拝見したうえで工期をご提示します。
配電盤塗装のまとめ
- 配電盤塗装の役割は、防錆・防食、水分の侵入防止、識別と表示の維持
- ツヤ引けの段階なら軽研磨と再塗装、錆が出ていれば除去と錆止めからやり直す
- 費用は劣化の程度・設置場所・稼働状況・養生の範囲・色の指定で変わる
- 依頼先は、電気設備の実績、停電と安全対策の説明、下地処理の明記で見極める

工場・プラントの塗装、設備機械の塗り替え、焼付・粉体塗装のご相談を承っています。図面や現況写真をお送りいただければ、可否と概算のご回答が可能です。
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執筆:株式会社ユーコー(工場・設備の塗装と補修/大阪府大東市)