COLUMN / 焼付・粉体塗装

焼付塗装とは?通常の塗装との違いと工程、向く部材

更新 2026.10.27

焼付塗装とは?通常の塗装との違いと工程、向く部材

焼付塗装とは、金属の部材に塗料を吹き付けたあと、炉で加熱して塗膜を硬化させる塗装です。常温で乾かす通常の塗装と比べて塗膜が硬く、傷・摩耗・薬品に強いため、機器の外装パネルや扉・カバー、笠木などの金属建材、金属部品の仕上げに使われています。

この記事は、金属部材の塗装を発注する設計・購買・生産技術の方に向けて、焼付塗装と通常の塗装の違い、工程、使う塗料の種類、向く部材と向かない部材、依頼するときに伝えることをまとめたものです。

焼付塗装とは|塗ったあと炉で加熱して硬化させる塗装

塗装は「どう塗るか」と「どう乾かすか」に分けて考えると整理しやすくなります。焼付塗装は乾かし方の名前で、塗り方はスプレーで吹き付ける方法(吹付塗装)が一般的です。塗った部材を炉に入れて100℃以上の温度で加熱すると、塗料の樹脂が反応して硬い塗膜になります。

粉末の塗料を静電気で付けて焼き付ける粉体塗装も、焼き付けて仕上げる塗装の一つです。一般に「焼付塗装」というと液体の塗料を使う方法を指し、粉体塗装とは分けて呼ばれます。粉体塗装の仕組みは粉体塗装とは?仕組みと工程、向く部材・向かない部材、液体の焼付塗装と粉体塗装の違いは焼付塗装と粉体塗装の違い|仕上がり・耐久性・費用の決まり方と選び方で解説しています。

焼付塗装と通常の塗装の違い

通常の塗装(常温で乾かす塗装)との違いは、乾かし方にあります。その違いが、塗膜の硬さ、仕上がり、塗れる素材、塗る場所に表れます。

焼付塗装とは、炉で加熱して硬化させる塗装|常温で乾かす通常の塗装と、乾かし方・塗膜・仕上がり・塗れる素材・塗る場所・キズの補修を比べた図

観点 焼付塗装 通常の塗装(常温乾燥)
乾かし方 炉で100℃以上に加熱し、短い時間で硬化させる 空気中で乾かす。乾くまでの時間は気温と湿度で変わる
塗膜 硬く、傷・摩耗・薬品に強い 焼付塗装に比べるとやわらかい
仕上がり 平滑で、色と艶がそろいやすい 塗る場所の温度・湿度・ほこりの影響を受けやすい
塗れる素材 熱に耐える金属が中心 金属のほか、樹脂・木材なども塗れる
塗る場所 炉のある塗装の作業場に持ち込んで塗る 据え付けた設備や建物でも、現地で塗れる
稼働への影響 取り外してから戻すまで、その部材は使えない 塗る範囲だけ、塗装から乾燥まで使えない
キズの補修 現地では焼き付けられないため、常温で乾く塗料で色と艶を合わせる 同じ系統の塗料で補修しやすい

据え付けた設備や建物のように運び出せないものは、常温で乾く塗料を使って現地で塗ります。現地での塗装の進め方は出張塗装とは?持ち込み塗装との違いと、向く設備・依頼の流れで解説しています。

焼付塗装の工程

焼付塗装は、おおむね次の順で進めます。塗料の種類や仕様によって、塗り回数と焼付の回数は変わります。

  1. 前処理:脱脂・洗浄で油分や汚れを落とし、素材に合った下地処理で塗料が密着する面をつくります。
  2. 下塗り:防錆や密着を受け持つ下塗りを吹き付けます。仕様によっては、ここで一度焼き付けます。
  3. 上塗り:色と艶を出す上塗りを吹き付けます。メタリックなどの仕上げでは中塗りを入れることもあります。
  4. 焼付:炉で加熱して硬化させます。温度と時間は塗料ごとに決まっています。
  5. 検査・梱包:外観と膜厚を確認し、傷が付かないよう梱包します。

焼付塗装の上塗り|塗装ブースで、吊り下げた金属パネルにスプレーガンで上塗りを吹き付けている様子

焼付塗装の検査|焼付後の塗膜の厚さを電磁膜厚計で測っている様子

焼付塗装に使う塗料の種類

焼付塗装の塗料は、樹脂の種類で性質が変わります。主なものは次のとおりです。

  • メラミン樹脂系:焼付塗装で広く使われる塗料です。仕上がりが平滑で、色と艶を出しやすい特徴があります。
  • エポキシ樹脂系:密着性と防食性に優れ、下塗りや、薬品がかかる部材に使われます。紫外線には弱いため、屋外では上塗りを別に選びます。
  • ポリエステル樹脂系:耐候性があり、屋外で使う部材や建材に使われます。
  • ふっ素樹脂系:耐候性が特に高く、色と艶を長く保ちたい建材に使われます。

使う場所(屋内か屋外か、薬品がかかるか)と、求める色・艶で塗料を選びます。粉末の塗料を使う場合は粉体塗装になります。

焼付塗装に向く部材・向かない部材

向いている部材

  • 機器の外装パネル・扉・カバー:見た目と色の再現性が問われ、傷への強さも求められる部材。
  • 笠木・パネルなどの金属建材:建物の外装に付く部材を、取り付ける前に塗ります。
  • 金属部品:小物の部品から、数量のある部品まで。色を替えやすいため、試作や小ロットにも向いています。

焼付塗装に向く部材の例|吊り下げた細長い金属建材のパネルに、スプレーガンで下塗りを吹き付けている様子

向いていない部材・場面

  • 熱に弱い素材や部品が付いたもの:樹脂・ゴム・木材など、焼付の熱に耐えられないものは塗れません。外せる部品は外してから塗ります。
  • 炉に入らない大きさ・重さのもの:大きさと重さによって対応できるかが変わります。寸法と重さを先にお知らせください。
  • 据え付けた設備・建物に固定された部材:現地で焼き付けることはできないため、常温で乾く塗料で塗ります。
  • キズの部分補修:焼付塗装した製品のキズは、常温で乾く塗料で色と艶を合わせて補修します。

焼付塗装を依頼するときに伝えること

次の情報があると、塗れるかどうかと、仕様・費用・納期を早くお伝えできます。分かるものだけで構いません。

  • 素材:鉄・アルミ・ステンレス・亜鉛めっきなどの別、すでに塗装されているか
  • 大きさと重さ:図面または寸法、1点あたりの重さ
  • 数量:1回の数量と、続けて発注する予定があるか
  • 色と艶:色番号(日本塗料工業会の色見本番号など)や色見本、艶の程度、メタリックなどの仕上げ
  • 膜厚や仕様の指定:膜厚の指定、塗装仕様書の有無
  • 塗らない箇所:ねじ穴・はめ合い面など
  • 使う場所:屋内か屋外か、薬品がかかるか
  • 希望の納期と梱包:納品日、梱包や検査記録の指定

見積りが止まりやすい項目と、その決め方は焼付塗装の依頼前に固める5項目|見積りが止まる原因で詳しく解説しています。

分かる項目だけで構いません。図面か写真をお送りいただければ、塗れるかどうかと概算をお返しします。→ お問い合わせ・お見積り

焼付塗装の施工事例

当社の施工事例から、焼付塗装の例を紹介します。

ほかの事例は施工事例の一覧でご覧いただけます。

株式会社ユーコーの焼付塗装

株式会社ユーコーは、大阪府大東市を拠点に、焼付塗装・粉体塗装を承っています。小物部材から長尺物・大型の重量物まで対応し、自社調色による色合わせや、少量・お急ぎのご相談も承っています。部材の用途・数量・形状を伺い、焼付塗装と粉体塗装のどちらで塗るかの段階からご提案します。

ご依頼は、お問い合わせ、お見積り、製品の受け取り、塗装・焼付け、検査・梱包、納品の順に進みます。据え付けたままの設備は、出張塗装で現地に伺って塗装します。

焼付塗装でよくあるご質問

焼付塗装した製品の上から塗装できますか

塗れます。ただし焼付塗装の塗膜は硬く平滑なため、そのまま塗ると密着しにくく、表面を研磨して荒らす(足付け)などの下地処理が必要です。現地で塗る場合は焼き付けられないため、常温で乾く塗料を使います。部分補修で済むか塗り替えが要るかの判断はリペア塗装か塗り替えか|素材と劣化の状態で決める判断のポイント、補修した部分の色合わせは金属パネルの補修塗装の色合わせで解説しています。

吹付塗装と焼付塗装は何が違いますか

吹付塗装は塗り方(スプレーで吹き付ける)、焼付塗装は乾かし方(炉で加熱して硬化させる)の名前です。焼付塗装も多くは吹付で塗るため、二つは対立するものではありません。「吹付塗装」とだけ言う場合は、常温で乾かす塗装を指すことが多いです。

粉体塗装とどちらがよいですか

薄く平滑で光沢のある仕上がりや、色数が多い小ロットには焼付塗装、厚い塗膜で衝撃や錆に強い仕上げには粉体塗装が向く傾向があります。比較の詳細は焼付塗装と粉体塗装の違いをご覧ください。

試作や少ない数量でも頼めますか

小ロットのご注文も承っています。焼付塗装は色を替えやすく、試作品や小ロットにも向いています。数量と大きさ、色をお知らせください。

まとめ:焼付塗装とは、炉で加熱して硬い塗膜をつくる塗装

  • 仕組み:吹き付けた塗料を、炉で100℃以上に加熱して硬化させる。
  • 通常の塗装との違い:塗膜が硬く仕上がりがそろう一方、熱に耐える金属が中心で、炉のある作業場に持ち込んで塗る。
  • 工程:前処理、下塗り、上塗り、焼付、検査・梱包。仕様によっては下塗りでも焼き付ける。
  • 向かない場面:熱に弱い素材、炉に入らない大きさ、据え付けた設備、キズの部分補修。

焼付塗装で塗れるかどうか分からない段階でも、図面や写真をお送りいただければご相談いただけます。

工場・プラントの塗装、設備機械の塗り替え、焼付・粉体塗装のご相談を承っています。
図面や現況写真をお送りいただければ、可否と概算のご回答が可能です。

お電話:072-800-8107(平日9:00〜17:30)
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執筆:株式会社ユーコー(工場・設備の塗装と補修/大阪府大東市)

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対象物の写真と、おおよその寸法・数量をお送りください。工法と概算、現地調査が必要かをお返しします。

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