焼付塗装の依頼前に固める5項目|見積りが止まる原因
焼付塗装の依頼で見積りが止まる原因と、依頼前に固めておく項目をまとめました。焼付塗装や粉体塗装を外部に出すとき、見積りの返答が遅れたり、そもそも受けてもらえなかったりすることがあります。原因の多くは業者側の都合ではなく、依頼の時点で仕様が固まっていないことにあります。焼付・粉体は炉とブースを使う工程のため、素材と寸法が決まらなければ入るかどうかの判断ができず、前処理と色の指定が決まらなければ工程数も組めません。
この記事では、工場・プラントの設備担当の方が焼付塗装の依頼を出す前に固めておくべき5項目と、株式会社ユーコーが実際にお断りすることが多い引き合いの共通点を整理します。仕様が決まっていない項目は「未定」と書いて出していただければ、そこから詰めることもできます。困るのは、未定であること自体が伝わらないまま話が進む場合です。
焼付塗装の依頼で見積りが止まるのはどこか
焼付塗装と粉体塗装は、常温で乾かす塗装と違い、塗った後に炉へ入れて加熱し塗膜を硬化させます。このため、次の3つが決まらないと見積りの前段階で止まります。
- 炉に入るか……寸法と形状の問題。当社では長尺物は6mまで対応しており、小物は手のひらサイズより小さいものも扱えますが、炉とブースの有効寸法は協力会社ごとに異なります。案件の得意・不得意で振り分けているため、寸法は個別に確認しています。
- 加熱に耐えるか……素材と、すでに付いている部品の問題。樹脂部品・ゴムパッキン・電子部品・ラベルが付いたまま入れることはできません。取り外せるかどうかが判断の分かれ目になります。
- 現地でやるのか持ち帰るのか……焼付塗装・粉体塗装の仕様であれば、設備が必要なため持ち帰り施工になります。動かせない設備は別の工法を検討することになります。
逆に言えば、この3点に答えられる情報が最初の連絡に入っていれば、可否の回答は早くなります。図面がなくても、寸法を当たった写真と、素材が分かる情報があれば足ります。

焼付塗装の依頼前に固めておく5項目
下の表は、当社が引き合いをいただいたときに必ず確認している項目です。「要相談」と書いてある欄は、仕様によって変わるため一律には答えられないという意味で、隠しているわけではありません。
| 項目 | 決めておくこと | 決まっていないと何が起きるか |
|---|---|---|
| 素材 | 鉄・アルミ・ステンレス・亜鉛メッキなどの区別。めっきや既存塗膜の有無 | 前処理の方法が決まらず、密着の見込みが立たない |
| 寸法・数量 | 最大寸法(長さ・幅・高さ)と重量、1回に出す数量 | 炉とブースに入るかが判断できない。ロット・サイズ・重量は仕様により要相談 |
| 前処理 | 脱脂のみか、リン酸処理やブラストまで必要か | 工程数が確定せず、工期も出ない |
| 色・ツヤ | 日塗工番号、RAL、または現物合わせのどれか。ツヤの程度 | 調色の手間が読めない。現物合わせは現物の送付が前提になる |
| 納期・搬入方法 | 希望納期と、持ち込みか配送か。分納の可否 | 炉の空きと合わせられない。短納期だけが先に決まると品質側が削られる |
色指定は3通りある
色の指定方法は、日本塗料工業会の「塗料用標準色」の番号(日塗工番号)で指定する、RALの色見本で指定する、現物を送っていただいて合わせる、の3通りに対応しています。既存設備の増設や部品の追加で「前回と同じ色に」というご相談が多いのですが、前回の色番号が社内に残っていないケースが少なくありません。番号が分からない場合は現物合わせになるため、色を合わせたい部材を1点お送りいただく前提で日程を組みます。
前処理は仕上がりよりも先に効く
塗料の性能は、下地の状態を超えません。油分が残ったまま塗れば付着性の試験(JIS K 5600-5-6 付着性/クロスカット法)で落ちますし、膜厚(JIS K 5600-1-7)を確保しても下地から剥がれれば意味がありません。当社では脱脂・リン酸処理・ブラストに対応していますが、どこまでやるかは素材と使用環境で変わります。屋内の什器と、屋外で雨がかかる設備では同じにはなりません。
焼付塗装の依頼で、金額だけ・短納期の引き合いをお断りすることがある理由
当社がお断りすることが多い引き合いは、次の2つです。営業上の都合ではなく、受けても良い結果にならないと分かっているためです。
- 金額の比較だけで、仕様を問わない引き合い……素材も前処理も色指定も決まっていない状態で単価だけを尋ねられる場合、比較できる条件がそろっていません。安い見積りは工程を削った見積りであることが多く、後から前処理や膜厚の話になって作り直しになります。
- 塗装不良の懸念を無視した短納期……焼付・粉体には加熱と硬化の時間が必要で、ここは短縮できません。前処理の乾燥を待たずに塗れば付着不良、硬化を待たずに積めば塗膜の傷や癒着が起きます。納期に合わせて削れるのは検査と手直しの余裕だけで、それを削ると不良がそのまま納品物に残ります。
個別の金額はここには書けませんが、金額が動く要因は公開できます。素材と既存塗膜の状態、前処理の範囲、色数と調色の有無、数量と分納の回数、搬入方法、検査の水準です。このうちどれを緩められるかを先に相談していただくほうが、単価だけを比べるより結果的に安くなります。
焼付塗装の依頼は持ち帰り、動かせない設備は現地施工
焼付塗装・粉体塗装は設備が必要なため持ち帰り施工になります。持ち帰りは基本的に関西圏を対象としていますが、お持ち込みいただけるのであれば地域を問わず対応しています。一方、動かせない設備や据え付け済みの機械は現地での出張塗装になり、こちらは北海道から沖縄まで実績があります。
| 状況 | 取りうる方法 | 地域の扱い |
|---|---|---|
| 部品・パネル・什器など外して出せるもの | 持ち帰りで焼付・粉体 | 基本は関西圏。持ち込みであれば全国から可 |
| 据え付け済みで動かせない設備・機械 | 現地で出張塗装 | 全国対応。北海道から沖縄まで実績あり |
| 稼働を止めたくない設備 | 現地施工を夜間・休日で分割 | 対応可。工程の組み方は要相談 |
新設の機械で部品だけを先に塗っておけるなら持ち帰りのほうが仕上がりは安定します。据え付け後に現地で塗る場合は、養生の範囲と乾燥時間の確保が段取りの中心になります。
株式会社ユーコーができること
株式会社ユーコーは、工場・プラント向けの塗装を専門としています。焼付塗装と粉体塗装については、鉄・アルミ・ステンレス・亜鉛メッキなどの各種素材に対応し、前処理は脱脂・リン酸処理・ブラストまで、色指定は日塗工番号・RAL・現物合わせのいずれでも承っています。長尺物は6mまで、小物は手のひらサイズより小さいものまで扱っています。
炉やブースの有効寸法は協力会社ごとに異なるため、案件の内容で振り分けています。焼付塗装の依頼で対応可否の判断が要る案件は、焼付塗装・粉体塗装のサービスページに工程の流れを載せていますので、あわせてご覧ください。ロット・サイズ・重量・納期は仕様によって変わるため要相談としています。この「要相談」を先に潰しておくことが、5項目を固めていただく目的です。
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よくあるご質問
焼付塗装は1個だけの依頼でも受けてもらえますか
ロットは仕様によって変わるため要相談としています。数量が少ない場合は、炉の空き状況との兼ね合いで日程が動くことがあります。数量と希望納期を一緒にお知らせください。
納期はどのくらいかかりますか
標準納期は設けていません。素材・前処理の範囲・色数・数量・搬入方法で変わるため、仕様が固まった時点でお答えしています。確定していない段階で日数だけをお伝えすることはしていません。
色番号が分からない場合はどうすればよいですか
色を合わせたい部材を1点お送りいただければ現物合わせで対応します。日塗工番号やRALが分かる場合は番号でのご指定が最も早く、調色の手間も読みやすくなります。
まとめ
焼付塗装の依頼で見積りが止まる原因は、素材・寸法数量・前処理・色指定・納期搬入方法の5項目のどれかが未確定であることにほぼ集約されます。すべてを決めてから相談する必要はありません。どれが決まっていてどれが未定かを明示していただくだけで、詰める順番が立ちます。金額だけの比較や、硬化時間を無視した短納期のご依頼をお断りすることがあるのは、条件がそろわないまま受けても品質を保てないためです。
工場・プラントの塗装、設備機械の塗り替え、焼付・粉体塗装のご相談を承っています。図面や現況写真をお送りいただければ、可否と概算のご回答が可能です。
お電話:072-800-8107(平日9:00〜17:30)
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出典:日本塗料工業会「塗料用標準色」/JIS K 5600-5-6(塗料一般試験方法 付着性・クロスカット法)/JIS K 5600-1-7(塗料一般試験方法 膜厚)。対応素材・前処理・色指定・寸法・エリアに関する記載は株式会社ユーコーへの社内確認(2026-09-03)に基づきます。
監修:株式会社ユーコー 代表取締役 沖 裕也(塗装歴25年)/運営:株式会社ユーコー(大阪府大東市新田北町)
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