COLUMN / 工場メンテナンス

工場の鉄部塗装を依頼する前に決めること|範囲・錆の状態・作業条件と色

工場の鉄部塗装を依頼する前に決めること|範囲・錆の状態・作業条件と色

工場の配管・手摺・階段・鉄骨・シャッターなどの鉄部塗装を、業者に依頼しようとしている設備保全・総務・購買のご担当者向けの記事です。鉄部塗装の見積りは、「どこまで塗るか」「錆がどこまで進んでいるか」「どんな条件で作業するか」「何色で仕上げるか」の4点が決まっていないと、業者ごとに前提がばらばらになり、比べられなくなります。

この記事では、鉄部塗装を依頼する前に社内で決めておくと話が早い4つのことと、見積りが変わる要素、依頼時に用意していただきたい情報を整理します。

工場内の配管と鉄骨の階段・手摺。鉄部塗装を依頼する前に、塗る範囲を決めておく

※画像はイメージです

工場の鉄部塗装で依頼前に決めておく4つのこと

結論から書くと、決めておくのは次の4つです。すべてが決まっていなくても相談はできますが、決まっている項目が多いほど、見積りの精度と比較のしやすさが上がります。

決めること 中身 決まっていないと起きること
1. 塗る範囲 どの鉄部を、どこからどこまで塗るか 業者ごとに数量が違い、金額を比べられない
2. 錆の状態 錆の広がり・深さ、穴あきや変形の有無 素地調整(錆落とし)の手間が読めず、現地で増額になりやすい
3. 作業条件 稼働中か、時間帯、高所か、立会いが要るか 工期と段取りが決まらず、着工日が組めない
4. 色の指定 既存色に合わせるか、社内の識別色・指定色があるか 仕上がり後に「色が違う」となり、塗り直しになる

塗料の種類や、何年もたせたいかという塗装仕様の考え方もありますが、まずは上の4点が決まっていれば、業者側から仕様の提案を受けられます。

1. 鉄部塗装の範囲:どの鉄部を、どこまで塗るか

工場の鉄部と一口にいっても、対象は配管・ダクト・手摺・階段・鉄骨・シャッター・門扉・立柱看板など幅広く、同じ敷地の中でも傷み方が違います。依頼前に、次の2点を決めておくと話が早くなります。

  • 対象物と数量:配管なら系統と延長(m)、手摺・階段なら箇所数、鉄骨なら面や範囲。図面がなければ、写真に範囲を書き込んだものでも構いません
  • 部分か全体か:錆の出ている箇所だけを補修するのか、系統や面ごとにまとめて塗り替えるのか。部分補修は費用を抑えられますが、周囲との色や艶の差が出ることがあります

範囲が社内で決めきれない場合は、「ここは必ず」「ここは状態を見て判断」と優先度を分けて伝えていただければ、現地調査のうえで範囲ごとの見積りを出すことができます。

2. 錆の状態:鉄部塗装の手間は素地調整で決まる

鉄部塗装の仕上がりと持ちを左右するのは、上塗りの塗料よりも、その前の素地調整(ケレン・錆落とし)です。錆を残したまま塗ると、塗膜の下で錆が進み、早い時期に塗膜が浮いたり剥がれたりします。

株式会社ユーコーの鉄部の再塗装は、基本的に次の工程で進めます。

  1. ケレン・錆補修:錆や劣化した旧塗膜を除去し、必要に応じてパテで整える
  2. 下塗(防錆):下地に合った防錆塗料で、錆の再発を抑える
  3. 上塗:指定色で仕上げ、塗り残しを確認する

依頼前に把握しておきたいのは、錆が表面の点錆なのか、塗膜の下まで広がって層になっているのか、穴あきや大きな変形があるのか、という点です。穴あきや大きな変形がある部材は、塗装では元に戻らないため、板金補修や交換をおすすめする場合があります。判断がつかない段階でも、錆の部分を寄りと引きで撮った写真があれば、塗装で対応できるかどうかの目安をお伝えできます。

鉄部塗装を依頼する前に、錆の進み具合から部分補修で済むか塗り替えが要るかを見分ける考え方はリペア塗装か塗り替えか|素材と劣化の状態で決める判断のポイントで、工場の設備全体の劣化のサインと塗り替え計画の立て方は工場の塗装メンテナンス|設備の劣化サインと塗り替え計画の立て方で解説しています。

鉄部塗装の素地調整。錆の出た鋼材の表面を工具で落とした状態の寄り

※画像はイメージです

3. 作業条件:稼働中の工場で鉄部塗装をするための段取り

工場の鉄部は、設備が動いている中で塗ることがほとんどです。稼働中の工場での施工や、夜間・休日の作業にも対応しています(要相談)。そのうえで、次の条件を着工前に決めておく必要があります。

  • 作業できる時間帯:通路や搬入経路にかかる場所は、人や車両の動きが少ない時間に寄せることがあります
  • 止める範囲と養生の範囲:塗料の飛散や臭気が製品・設備に影響しないよう、どこまで覆うか、どこを一時的に使えなくするか
  • 高所かどうか:配管ラックや鉄骨の上部、立柱看板などは高所作業車や足場が必要になり、工期と費用に影響します
  • 立会いの要否:作業中に設備担当の方の立会いが必要かどうか
  • 配管の運転条件:運転中に表面が熱くなる配管や、振動のある配管は、使える塗料や作業できるタイミングが変わるため、表面温度の目安と運転の予定を教えてください

これらは現地調査で確認し、見積書に記載してから着工します。なお、乾燥・養生に必要な時間を削ることが前提の短納期のご依頼は、塗装不良につながるため、お受けできない場合があります。

4. 色の指定:鉄部塗装の色は既存色と社内基準を先に確認

色は、塗り終わってから問題になりやすい項目です。次のどれで指定するかを、依頼前に決めておいてください。

  • 既存色に合わせる:マンセル値・日塗工番号・RALなどの色番号がわかればそれで、わからなければ現物に合わせて調色します
  • 配管の識別色:配管は、JIS Z 9102(配管系の識別表示)で、流れる物質ごとに識別色が決められています(例:水は青、空気は白)。工場によっては独自の色分けを定めている場合もあるため、社内の基準を確認したうえでお知らせください
  • 手摺・階段などの色:安全上の注意喚起のために社内で色を決めている場合は、その基準に合わせます

部分的に塗る場合は、新しく塗った部分と周囲の古い塗膜で、色や艶に差が出ることがあります。どこまで差を許容するかも、あわせて決めておくと仕上がりの行き違いを防げます。

色の異なる塗装で仕上げた工場の配管。鉄部塗装では既存色や社内の色の基準を先に確認する

※画像はイメージです

鉄部塗装の見積りが決まる要素

金額は現地の状態によって変わるため、ここでは見積りを動かす要素だけを整理します。

要素 金額が上がりやすい条件
範囲・数量 対象が広い、点在していて移動や段取り替えが多い
錆の程度 錆が層になっている、旧塗膜を広く落とす必要がある
形状 配管の曲がりや継手が多い、鉄骨の入り組んだ部分が多い
高所・足場 高所作業車や足場が必要
作業条件 夜間・休日に限られる、作業時間が短く日数が延びる、養生の範囲が広い
色 現物合わせの調色が必要、色の種類が多い

株式会社ユーコーにご依頼いただける鉄部の塗装

株式会社ユーコーでは、工場の配管・ダクト・手摺・階段・鉄骨・シャッター・門扉・立柱看板などの鉄部を、現地で再塗装しています。現地施工は北海道から沖縄・離島まで実績があります。鉄部塗装の依頼は、塗る範囲が社内で決めきれていない段階でもご相談いただけます。対応範囲と工程、施工の進め方は盤・設備メンテナンス塗装のページにまとめています。

鉄部の錆を補修して塗り直した施工事例:

そのほかの事例は施工事例一覧からご覧いただけます。

鉄部塗装の依頼時に用意していただきたい情報

次のうち、わかるものだけで構いません。

  • 対象物と範囲(図面、または範囲を書き込んだ写真)
  • 錆の部分の写真(寄りと引きの2枚あると判断しやすくなります)
  • 作業できる曜日・時間帯、止められる範囲
  • 高所の有無(おおよその高さ)
  • 配管の場合は、流れている物質と運転中の表面温度の目安
  • 色の指定(色番号、または社内の色の基準)
  • 希望の時期

工場・プラントの塗装、設備機械の塗り替え、焼付・粉体塗装のご相談を承っています。
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執筆:株式会社ユーコー(工場・設備の塗装と補修/大阪府大東市)

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対象物の写真と、おおよその寸法・数量をお送りください。工法と概算、現地調査が必要かをお返しします。

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