
補修塗装とは、金属パネルや扉・枠、手摺、設備の外装などに出た傷・凹み・錆・塗膜の剥がれを、その部分だけ直して周囲の色に合わせる塗装です。全体を塗り替えたり部材を交換したりせずに、見た目と素地の保護を取り戻せるため、施設の外装や設備、店舗の金物・什器、新設設備の引き渡し前のキズ直しなどで使われています。
この記事は、施設や設備の管理を担当する方、ゼネコン・設備会社で引き渡し前の補修を手配する方に向けて、補修塗装と塗り替えの違い、工程、色合わせの考え方、補修できる範囲と依頼するときに伝えることをまとめたものです。
補修塗装とは|傷んだ部分だけを直して周囲に合わせる塗装
補修塗装は、傷んだ範囲だけを下地から整え直し、塗装で仕上げる作業です。「リペア塗装」「部分補修」とも呼ばれます。小さな傷を筆や小型のスプレーで塗る簡単な補修は「タッチアップ」と呼ばれることもあります。
補修塗装の目的は、次の2つです。
- 見た目を戻す:傷や凹み、色の違う部分を目立たなくし、周囲の面となじませます。
- 素地を守る:塗膜が切れて金属が出た部分をふさぎ、錆の広がりを止めます。
対象になるのは、金属パネル、扉・枠、手摺、装飾金物、設備の外装パネル、店舗の金物・什器などです。症状としては、凹み、擦り傷、錆、塗膜のめくれ・剥がれ、色あせを扱います。
補修塗装と塗り替えの違い
補修塗装と塗り替えは、塗る範囲と目的が違います。
| 観点 | 補修塗装 | 塗り替え |
|---|---|---|
| 塗る範囲 | 傷んだ部分とその周り | 面全体、または部材・設備全体 |
| 目的 | 傷や錆を部分的に直し、周囲となじませる | 塗膜全体を新しくし、色や性能をそろえ直す |
| 色の合わせ方 | 今の面(年数で変わった色)に合わせて調色する | 新しい色でそろえるため、周囲との差は出にくい |
| 稼働への影響 | 作業する範囲が狭く、止める場所と時間を小さくできる | 塗る範囲が広く、養生や停止の範囲が大きくなりやすい |
| 向く状態 | 傷・凹み・錆が限られた範囲に出ている | 色あせや錆、剥がれが面全体に広がっている |
傷が点在しているのか、面全体が傷んでいるのかで、どちらが向くかが分かれます。素材や劣化の状態、求める仕上がりと稼働の条件から判断する方法はリペア塗装か塗り替えか|素材と劣化の状態で決める判断のポイントで解説しています。
補修塗装の工程
補修塗装は、おおむね次の順で進めます。凹みのない擦り傷や錆であれば、成形の工程は省きます。

- 状態の確認:写真や現地で、傷の種類と範囲、素材、今の塗膜の状態を確かめ、補修で直せるか、どこまで目立たなくできるかを判断します。
- 成形・パテ:凹みがある場合は形を戻し、残った段差をパテで埋めて面を整えます。
- 下地処理:研磨と脱脂で、塗料が密着する下地をつくります。錆が出ている部分は錆を落とし、防錆の下塗りをします。
- 調色:今の面の色に合わせて塗料の色を調整し、実際の面で確かめます。
- 部分塗装:補修した部分の境目をぼかして塗り、周囲との色と艶の差がないかを確かめます。

※画像はイメージです
補修塗装の色合わせ|跡を残さないための考え方
補修塗装で難しいのは、直した部分と周囲との色や艶の差です。屋外の面は年数とともに色があせ、艶も落ちるため、新しい塗料を色見本どおりに塗ると、補修した部分だけが浮いて見えます。そのため、色見本ではなく「今の面の色」に合わせて調色します。
株式会社ユーコーでは、次の方法を組み合わせて色を合わせています。
- 現地で見ながら調色:補修する面のそばで色を確かめながら、塗料の色を調整します。
- 見本板で確認:調色した塗料を見本板に塗り、実際の面と並べて確かめます。
- 塗料メーカーに調色を依頼:案件に応じて、塗料メーカーに調色を依頼します。

※画像はイメージです
色だけでなく、艶と質感(メタリックや、ざらつきのある仕上げなど)もそろえる必要があります。年数で色あせた面の一部だけを補修すると色の差が残ることがあるため、その場合は補修する範囲を広げるかどうかを事前にご相談します。素材や仕上げごとの注意点は金属パネルの補修塗装の色合わせ|素材と仕上げ別に補修跡を目立たせない手順で解説しています。
補修塗装でできること・できないこと
補修塗装で直せるもの
- 擦り傷・搬入キズ:塗膜の傷や、搬入・据付のときについたキズ。
- 凹み:変形の程度によって、成形とパテで面を戻してから塗装します。
- 錆:錆の出ている範囲が限られていれば、錆を落として防錆の下塗りをしてから塗ります。
- 塗膜のめくれ・剥がれ:浮いた塗膜を取り除き、段差をならしてから塗ります。
補修塗装では難しいもの
- 貫通した穴・構造に関わる部材の変形:交換をおすすめする場合があります。
- 面全体に広がった色あせ・錆・剥がれ:一部を直しても周りが傷んでいるため、面ごとの塗り替えが向きます。
- 年数で色あせた面の一部だけの補修:色の差が残ることがあります。補修の範囲は事前にご相談します。
凹みの深さや場所によっても、仕上がりの見え方は変わります。凹みを補修で直すか交換するかの判断は金属パネルの凹みは補修か交換か|補修後の平滑度と判断のポイント、素材ごとの直し方と限界は金属パネルの凹みの直し方と限界|アルミ・ステンレス・鋼板の素材別比較で解説しています。
焼付塗装で仕上げた製品のキズは、現地では焼き付けられないため、常温で乾く塗料で色と艶を合わせて補修します。焼付塗装の仕組みは焼付塗装とは?通常の塗装との違いと工程、向く部材をご覧ください。
補修塗装はどこで行うか|現地と持ち帰り
補修塗装は、補修する部材がある場所で行うのが基本です。外装のパネルや据え付けた設備、店舗の金物・什器は、その場で補修します。取り外せる部材は、持ち帰って塗装することもできます。
営業中の店舗や稼働中の施設では、作業する時間帯を先に決めます。株式会社ユーコーは夜間・休日の施工にも対応しており、夜間に金物・什器・床の補修をまとめて仕上げた例もあります。日程は時期や作業の内容によって、ご希望に沿えない場合があります。小さな補修であれば、内容によっては数時間で終わることもあります。
現地での塗装の進め方は出張塗装とは?持ち込み塗装との違いと、向く設備・依頼の流れで解説しています。
補修塗装を依頼するときに伝えること
次の情報があると、補修で直せるかどうかと、仕上がりの目安・費用・日程を早くお伝えできます。分かるものだけで構いません。
- 部材と素材:金属パネル・扉・手摺・什器などの別、鉄・アルミ・ステンレスなどの素材
- 傷の写真:部材の全体が写った写真と、傷の近景
- 傷の種類と数:擦り傷・凹み・錆・剥がれの別と、補修する箇所の数
- 場所:屋内か屋外か、作業する高さ、足場や高所作業車が要るか
- 作業できる時間帯:営業時間・稼働時間と、立入りの条件
- 色の情報:色番号や、元の塗料のメーカー・品名が分かれば
- 求める仕上がり:どこまで目立たなくしたいか、近くで見られる場所か
- 期限:引き渡し日や、使い始める日
写真が数枚あれば、概算をお伝えできます。写真からのご回答は概算までになります。
補修塗装の施工事例
当社の施工事例から、補修塗装の例を紹介します。
- Kスパンの凹み補修と装飾球4基の金色塗装|リペア塗装:外装の金属パネルの凹み1か所だけを成形・塗装し、あわせて柱上部の装飾球4基を金色に仕上げた事例です。
- 店舗内の金物・什器・床を一括補修!夜間対応で金物や床の修正箇所をまとめて解決:営業時間外の夜間に作業し、金物・什器・床の補修を3日でまとめて仕上げた事例です。各所で水性塗料を調色しています。
- 【出張塗装】プラント新設後のキズを現地補修!引き渡し前の設備美観を回復:新設プラントの引き渡し前に、搬入・据付でついた部材のキズを現地で補修した事例です。
ほかの事例はリペア・補修の施工事例でご覧いただけます。
株式会社ユーコーの補修塗装
株式会社ユーコーは、大阪府大東市を拠点に、金属パネル・扉・枠・手摺・装飾金物・設備の外装・店舗の金物や什器のリペア・補修を承っています。凹み1か所の補修からご相談いただけます。補修で直すのが難しい場合は、交換や塗り替えが向くことも含めて先にお伝えします。店舗や商業施設の什器を営業時間外に直す進め方は什器の補修塗装|店舗・商業施設の傷や剥がれを、買い替えずに直す判断と進め方で解説しています。扉枠や手摺、外装の金属パネルなどの建築金物を直す進め方は建築金物の補修塗装|扉枠・手摺・外装パネルの傷を、交換せずに現地で直す進め方で解説しています。
動かせない設備は、出張塗装で現地に伺って補修します。損害賠償保険に加入しており、施設の営業時間や立入りの条件を伺ったうえで、作業する時間帯を決めます。
補修塗装でよくあるご質問
補修した跡は分かりますか
今の面の色に合わせて調色し、境目をぼかして仕上げるため、補修した部分は目立ちにくくなります。年数で色あせた面では差が出ることがあるため、補修の範囲を事前にご相談します。
1か所だけでも頼めますか
ご相談ください。凹み1か所の補修から承っています。
補修か塗り替えか、自分では判断できません
部材の全体と傷の近景の写真をお送りください。補修で直せるか、塗り替えや交換が向くかをお伝えします。判断の考え方はリペア塗装か塗り替えかで解説しています。
写真だけで見積りできますか
写真からは概算をお伝えできます。詳しい見積りには、現地で状態を確かめる必要がある場合があります。
まとめ:補修塗装とは、傷んだ部分だけを直して周囲になじませる塗装
- 補修塗装とは:傷・凹み・錆・剥がれが出た部分だけを直し、周囲の色に合わせて仕上げる塗装。
- 塗り替えとの違い:塗る範囲が狭く、今の面の色に合わせて調色する。傷みが面全体に広がっていれば塗り替えが向く。
- 工程:状態の確認、成形・パテ、下地処理、調色、部分塗装。
- 難しいもの:貫通した穴や構造に関わる変形、面全体の劣化、色あせた面の一部だけの補修。
補修で直せるか分からない段階でも、傷の写真をお送りいただければご相談いただけます。
工場・プラントの塗装、設備機械の塗り替え、焼付・粉体塗装のご相談を承っています。
図面や現況写真をお送りいただければ、可否と概算のご回答が可能です。
お電話:072-800-8107(平日9:00〜17:30)
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執筆:株式会社ユーコー(工場・設備の塗装と補修/大阪府大東市)