
機械の出張塗装とは、工場に据え付けた機械や、組み立てが終わって動かせなくなった大型機械を、運び出さずに設置場所で塗装することです。錆や塗膜の剥がれが出た既設の機械の塗り替えから、納品前の新しい機械の防錆、指定色への色替えまで、現地で下地処理から上塗りまでを行います。
この記事は、工場の保全担当の方や、組み立て後・納品前の機械の塗装を手配する機械メーカー・設備会社の方に向けて、大型機械を現地で塗れるかの判断のしかた、機械の出張塗装の工程、仕上がりの品質を守るための管理を、当社の施工事例とあわせてまとめたものです。
機械の出張塗装とは|動かせない機械を、その場で塗る
機械の塗装は、塗装ブースのある工場へ持ち込んで行うのが一般的です。ただ、床に据え付けた機械や、組み立て後の大型機械は、運び出すだけで大きな工事になります。機械の出張塗装では、機械を設置場所に置いたまま、周りを養生して塗装します。
機械の出張塗装がよく使われるのは、次のような場面です。
- 既設の機械の塗り替え:錆や塗膜の剥がれが出た機械を、止められる期間に合わせて塗り替える
- 組み立て後の機械の塗装:移動できなくなった機械の本体と付属部材を、現地でまとめて塗る
- 納品前の機械の防錆:新しい機械に、指定の防錆塗料を現地で重ねて塗る
- 指定色への色替え:工場や出荷先の指定色に、機械の色をそろえる
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大型機械を現地で塗れるかの判断ポイント
大型機械でも、機械の出張塗装ができるかどうかは現地の条件で決まります。当社では現地調査で次の点を確かめてから、施工できるかと進め方をお伝えします。

| 判断する点 | 確かめること |
|---|---|
| 塗装の種類 | 焼付塗装・粉体塗装は現地ではできない。常温で乾く塗料で、求める仕様を満たせるか |
| 作業スペースと養生 | 機械の周りに作業できる場所があるか。床・周りの設備・製品をどこまで覆うか |
| 気温・湿度と換気 | 使う塗料の施工要領書に書かれた条件の範囲で塗り、乾かせるか |
| 火気・臭い・防爆 | 工場のルールと、使える塗料・工具。防爆エリアやクリーンルームは条件を伺ってから判断する |
| 稼働との兼ね合い | 塗る範囲とその周りは乾燥まで使えない。停止日や作業できる時間帯に合わせられるか |
| 精密部・可動部 | 駆動部・センサー・内部の機器に塗料が入らないよう、養生できるか |
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機械の出張塗装の工程
機械の出張塗装は、おおむね次の順で進めます。稼働中の工場で塗るときは、塗る技術と同じくらい、養生と乾燥の段取りが大切です。

- 仕様の確認:塗装仕様書がある場合はその仕様に沿って、ない場合は屋外か屋内か、水や薬品がかかるか、熱をもつかを伺って、塗料と工程を決めます。
- 養生:床・周りの設備・製品と、機械の駆動部やセンサーなど塗ってはいけない部分を覆います。
- 下地処理:錆・汚れ・油分を取り除きます。溶接箇所や細かい部分の錆は手作業で落とします。
- 下塗り:防錆のための下塗りを塗ります。
- 上塗り:仕上げの色と耐久性をもたせる上塗りを塗ります。指定色がある場合は、色番号やマンセル値に合わせて調色します。
- 確認と記録:工程ごとに写真を撮り、使った塗料を記録します。膜厚の指定がある仕様では、電磁膜厚計で実測して記録します。

※画像はイメージです
設備や機械に使う塗料・工法がどう決まるかは設備塗装とは?建築塗装との違いと、塗料・工法が決まる条件で解説しています。
機械の出張塗装で品質を守るための管理
何をどれだけ塗ったかは、仕上がってからでは見えません。現地で塗る場合も、塗装ブースで塗る場合と同じ基準で仕上げるために、次の点を管理します。
- 塗料の仕様を守る:指定の塗料は、塗料メーカーが決めた膜厚と乾燥時間を守って塗ります。透明なクリヤー塗料は塗り残しが見えにくいため、特に均一に塗ることを意識します。
- 乾燥時間を確保する:工期の中で、次の工程に進む前の乾燥時間を確保します。組み立てが控えている場合は、本体と付属部材を並行して塗るなど、工程を組んで遅れが出ないようにします。
- 2液形の塗料を正しく混ぜる:缶に表示された比率で計量して混合します。
- 記録を残す:塗料のメーカー名・製品名・色番号、素地調整から上塗りまでの各工程の写真を残します。膜厚の指定がある仕様では実測値も記録します。
- 塗り分けをそろえる:複数の色で塗り分ける場合は、マスキングの位置を合わせて、境目がゆがまないように仕上げます。
機械の出張塗装の施工事例
当社の施工事例から、機械の塗装の例を紹介します。
- 【出張塗装】機械設備を現地で一括塗装!限られたスペースで柔軟な対応と防錆仕上げ:組み立てが終わり移動できない機械設備一式を、限られたスペースで養生して現地で塗装した事例です。下塗りに日本ペイントのファインデクロ、上塗りに防錆型ファインウレタンU100を使い、本体と付属部材を並行して塗りました(工期15日)。
- 【出張塗装】移動できない設備に出張塗装!高防錆クリヤーで耐久性を付与:納品前の新しい機械設備3機に、お客様指定の水性型高防錆特殊クリヤーを現地で重ねて塗った事例です。塗料の施工要領書に沿って膜厚と乾燥時間を守りました(工期3日)。
- 【設備・機械塗装】指定色変更に対応!指定色塗り替えと美しい仕上がりを両立:組み上がった機械設備1機を、内部の機器を養生したうえで、出荷先の指定色に全面的に塗り替えた事例です(工期4日)。
- 新規導入の機械設備を強力に防錆!ローバル吹付塗装で長寿命化を実現:新しく導入する機械設備2基を、ローバル(常温亜鉛めっき)の吹付で防錆した事例です(工期1日)。
ほかの事例は出張塗装の施工事例と設備・機械塗装の施工事例でご覧いただけます。
機械の出張塗装を依頼するときに伝えること
次の情報があると、現地で塗れるかと、進め方・概算を早くお伝えできます。分かるものだけで構いません。
- 機械:種類とおおよその大きさ、屋内か屋外か
- 写真:機械の全体と、錆や剥がれなど傷んだ部分の写真
- 仕様:塗装仕様書や指定の塗料、指定色(色番号・マンセル値)
- 時期:止められる期間や、作業できる時間帯、納品・出荷の予定
- 工場のルール:火気・臭い・立入などの決まり
写真からは、概算までをお伝えできます。正式なお見積りは、現地調査で作業時間帯や養生の範囲などを確かめてからお出しします。
株式会社ユーコーの機械の出張塗装
株式会社ユーコーは、大阪府大東市を拠点に、産業機械・プラント設備・タンクなどの設備・機械塗装を承っています。動かせない機械は出張塗装で現地に伺い、取り外せる部品は持ち帰って塗装します。全国に伺い、北海道から沖縄・離島まで出張施工の実績があります。損害賠償保険にも加入しています。
機械の出張塗装でよくあるご質問
稼働中の工場でも塗装できますか
養生と区画分けをして、作業できる範囲を現地で確認します。止める必要がある設備がある場合は、停止日や時間帯に合わせて段取りします。夜間に施工した実績もありますが、対応できる時間帯は現地の条件と作業内容を伺って決めます。
塗装仕様書がなくても依頼できますか
できます。設置場所や使い方を伺い、塗料の種類と塗り回数をご提案します。メーカーや発注者の指定仕様がある場合は、その仕様に従います。
焼付塗装の仕上がりが必要な部品はどうなりますか
焼付塗装は現地ではできません。取り外せる部品は持ち帰って焼付塗装を行い、機械の本体は現地で塗装するといった分け方をご提案します。
膜厚の記録はもらえますか
膜厚の指定がある仕様では、電磁膜厚計で実測して記録します。記録の形式はご相談ください。
まとめ:機械の出張塗装は、現地の条件を確かめてから塗る
- 機械の出張塗装とは:据え付けた機械や組み立て後の大型機械を、運び出さずに設置場所で塗装すること。
- 現地で塗れるかの判断:塗装の種類、作業スペースと養生、気温・湿度と換気、火気・臭い・防爆、稼働との兼ね合い、精密部・可動部の養生で決まる。
- 工程:仕様の確認、養生、下地処理、下塗り、上塗り、確認と記録。
- 品質を守る管理:塗料の仕様と乾燥時間を守り、工程写真と使った塗料を記録する。膜厚の指定があれば実測する。
どこまで現地で塗れるか分からない段階でも、機械の全体と傷んだ部分の写真をお送りいただければご相談いただけます。
工場・プラントの塗装、設備機械の塗り替え、焼付・粉体塗装のご相談を承っています。
図面や現況写真をお送りいただければ、可否と概算のご回答が可能です。
お電話:072-800-8107(平日9:00〜17:30)
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執筆:株式会社ユーコー(工場・設備の塗装と補修/大阪府大東市)