COLUMN / 設備・機械塗装

キュービクルの塗装|年次点検の停電に合わせた計画と、発注前に決めること

キュービクルの塗装|年次点検の停電に合わせた計画と、発注前に決めること

キュービクルの塗装は、受変電設備の外箱を錆から守るための塗り替えです。外面は通電したまま塗れる場合がありますが、内側や停電が要る作業は、電気側の点検の日程と合わせないと進められません。

この記事は、キュービクルに錆が出てきて塗り替えを決めた保全担当の方に向けて、塗る範囲、年次点検の停電日に合わせた計画の立て方、電気側との分担、発注前に決めておくことをまとめたものです。錆の進み具合から再塗装で足りるかを見極める方法は配電盤の錆は再塗装で止まる?キュービクルを含む盤の錆の段階と見極め方で扱っています。

キュービクルの塗装で塗る範囲と、塗らないもの

屋外のキュービクルは、雨水がたまる扉の下端や脚部、溶接部から錆が進みます。塗装の対象は外箱の鋼板の部分で、盤の中の電気機器や配線には手を触れません。

区分 主な部位 進め方
外面 扉・側面・天板・扉の下端 錆を落として下塗りから塗り直す。通電したまま行える場合がある
足元 脚部・架台・基礎との取り合い 水がたまりやすく錆が出やすいため、外面とあわせて塗る
内面 扉の内側・外箱の内面 薬品や湿気で内側まで傷んでいる場合に塗る。停電が要るかを電気側と決める
塗らないもの 銘板・表示・警告表示、扉のパッキン、通気口、盤内の機器と配線 養生で覆うか、外せるものは外して守る

通気口や扉の隙間は、塗料が中へ入らないように養生してから塗ります。筐体に穴あきや大きな変形がある場合は、塗装だけでは直せないため、板金補修や交換を検討します。

キュービクルの塗装の養生|屋外の盤の通気口と扉の隙間をマスキングテープとシートで覆い、塗装の準備をしている様子(イメージ)

※画像はイメージです

キュービクルの塗装は、年次点検の停電日に合わせて計画する

キュービクルを止められる日は、塗装の都合とは別に、電気側の点検計画で決まっています。経済産業省の内規では、保安管理業務を外部に委託している設備の年次点検は1年に1回以上とされ、停電して行う点検は、機器の信頼性などの条件を満たす場合に3年に1回以上にできるとされています。停電の日が毎年あるとは限らないため、まず電気主任技術者さま(保安法人さま)に次の停電点検の日を確かめます。

キュービクルの塗装の計画|停電点検の日を確かめる・現地調査・見積りと条件の取り決め・外面を通電中に先行・停電日に停電が要る作業・記録を残す、の流れを示した図

  1. 停電点検の日を確かめる:次の停電の日と、停電できる時間帯を電気主任技術者さまに確かめます。
  2. 現地調査:当社が伺い、塗る範囲、作業できる時間帯、停止が必要な範囲、養生の範囲、立会いの要否を確かめます。
  3. 見積りと条件の取り決め:確かめた条件をお見積書に記載します。停電日の前に条件を決めておくことで、当日の作業を組み立てられます。
  4. 外面を先に塗る:通電したまま塗れる外面や架台は、停電日より前に進めておきます。
  5. 停電日に、停電が要る作業を行う:内面など停電が要る作業を、停電の時間内に収まるように行います。
  6. 記録を残す:使った塗料と工程の写真を残し、次の塗り替えの判断に使えるようにします。

停電点検の直前にご相談をいただくと、現地調査や条件の取り決めが間に合わず、その回の停電では外面の一部しか手を付けられないことがあります。停電日が決まったら、早めにご相談ください。停電の枠に収まらない場合の工程の組み方は配電盤の塗装を止めずに進める方法|停電を最小限にする段取りで解説しています。

キュービクルの塗装で、電気側と分担すること

キュービクルの塗装は、塗装会社だけでは完結しません。当社が行うのは外箱の塗装で、電気に関わることは電気主任技術者さま・電気工事会社さまの段取りに合わせます。

キュービクルの塗装の分担|塗装会社が行う外箱の塗装と養生、電気主任技術者・電気工事会社が行う停電の日程と盤内の機器、施設の管理者が決める作業できる時間帯と立会いを示した図

  • 当社が行うこと:現地調査、外箱・架台・内面の塗装、通気口や表示などの養生、工程の写真と使った塗料の記録
  • 電気側にお願いすること:停電の日程と時間、盤内の電気機器・配線の点検や交換(当社では行いません)
  • 通電中の作業:通電したまま作業できる範囲は、管理者さま・電気主任技術者さまの条件に合わせて決めます

キュービクルの塗装を発注する前に決める5つのこと

次の5つが決まっていると、工程を組んでお見積りを出せます。決まっていない項目は、現地調査のときに一緒に決めます。

  1. 対象と環境:屋内か屋外か、薬品や水がかかる場所か。環境によって塗料の仕様が変わります。
  2. 塗る範囲:外面だけか、架台や内面も塗るか。
  3. 色:既設の色に合わせるか、指定色(マンセル値・色番号)に変えるか。増設した盤と既設の盤の色をそろえることもできます。
  4. 触れないもの:銘板・表示・パッキンなど、塗らずに残すものと、外すか養生で覆うか。
  5. 作業できる時間と停電の日:作業できる時間帯と、停電点検の日程。

写真からは、概算までをお伝えできます。正式なお見積りは、現地調査で作業時間帯や養生の範囲などを確かめてからお出しします。キュービクルを含む工場の設備全体の塗り替え計画は工場の塗装メンテナンス|設備の劣化サインと塗り替え計画の立て方、盤の塗装の工程は配電盤塗装の基本|劣化サイン・工程・費用が決まる要素で解説しています。

キュービクルの塗装の施工事例

ほかの事例は工場メンテナンスの施工事例でご覧いただけます。

株式会社ユーコーのキュービクルの塗装

株式会社ユーコーは、大阪府大東市を拠点に、キュービクル・分電盤・配電盤・制御盤の外装の再塗装を盤・設備メンテナンス塗装として承っています。現地に伺って施工し、全国に対応しています。損害賠償保険にも加入しています。

キュービクルの塗装でよくあるご質問

年次点検の停電日に合わせて塗装できますか

ご相談ください。停電の日と時間が分かれば、外面を先に進めておき、停電が要る作業をその日に収める段取りを組みます。

キュービクルの内面も塗れますか

塗れます。薬品の影響で傷んだ屋外キュービクルを、外面・内面とも塗り替えた事例があります。内面の作業で停電が要るかは、電気主任技術者さまと決めます。

キュービクルは、交換と再塗装のどちらがよいですか

筐体に穴あきや大きな変形がなければ、再塗装で外装を延命できる場合があります。写真と現地調査で判断し、交換をおすすめする場合はそのようにお伝えします。

写真だけで見積りできますか

写真からは概算までをお伝えできます。正式なお見積りは現地調査のあとにお出しします。

まとめ:キュービクルの塗装は、停電の日から逆算して準備する

  • 塗る範囲:外箱の外面・足元・必要に応じて内面。銘板・表示・パッキン・通気口や盤内の機器は塗らずに守る。
  • 計画:電気主任技術者さまに次の停電点検の日を確かめ、そこから逆算して現地調査と条件の取り決めを済ませる。
  • 分担:塗装は当社、停電の日程と盤内の機器は電気側。通電中の作業範囲は管理者さま・電気主任技術者さまの条件で決める。
  • 発注前:対象と環境、塗る範囲、色、触れないもの、作業できる時間と停電の日の5つを決める。

出典:経済産業省 産業保安グループ 電力安全課「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)4.(7)③イ括弧書きにおける停電点検の延伸に係る要件の明確化について」(令和3年3月)

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執筆:株式会社ユーコー(工場・設備の塗装と補修/大阪府大東市)

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