COLUMN / 設備・機械塗装

設備塗装とは?建築塗装との違いと、塗料・工法が決まる条件

更新 2026.10.28

設備塗装とは?建築塗装との違いと、塗料・工法が決まる条件

設備塗装とは、工場の機械・装置、配管・ダクト、タンク、盤類、架台などの設備を、錆や腐食、水・薬品・熱といった使用条件から守るための塗装です。建物の壁や床を塗る建築塗装と比べると、素地・使用環境・稼働を止められる時間・色や仕様書、膜厚の指定・今の塗膜の状態によって、使う塗料と工法が大きく変わります。

この記事は、設備塗装の発注や塗り替えを検討している設備担当・工場長・購買の方に向けて、建築塗装との違い、塗料・工法が決まる5つの条件、基本の工程、依頼するときに用意してほしい情報をまとめたものです。

設備塗装とは|建築塗装との違い

設備塗装は、生産や保安に使われている設備そのものを塗る仕事です。同じ塗装でも、建物を塗る建築塗装とは、対象と求められることが違います。

  • 対象:建築塗装は建物の壁・床・天井などが対象です。設備塗装は機械・装置、配管、タンク、盤類、架台など、金属製で形が複雑なものが中心になります。
  • 求められる性能:見た目と雨風への耐久性に加えて、設備塗装では錆・腐食を止めること、水・薬品・油・熱に耐えることが求められます。
  • 施工の制約:設備は生産や保安に使われているため、稼働を止められる時間の中で塗る必要があります。可動部やねじ穴、合わせ面、計器の養生も欠かせません。
  • 仕様の決め方:配管の識別色や発注元の塗装仕様書、膜厚の指定がある場合は、それに沿って塗料と工程を組みます。
  • 施工する場所:取り外せる部品は持ち帰って塗り、移動できない設備は設置したまま現地で塗ります。

設備塗装の主な対象

工場やプラントで設備塗装の対象になるのは、主に次のようなものです。

対象 例 塗装で気をつけること
機械・装置 生産設備のフレーム・カバー・架台 油や切削液がかかる面は脱脂を丁寧に行う。可動部・銘板・計器は養生する
配管・ダクト 屋外の配管、ダクト、配管を支える架台 雨や結露で錆が出やすい。継手・フランジ・ボルトのまわりに錆が残りやすい
タンク・槽・ろ過装置 貯水タンク、薬液の槽、ろ過装置 水や薬品に触れる面は、耐水性・耐薬品性のある塗料を選ぶ
盤類 配電盤・キュービクル・制御盤 近くの機器が通電していることがある。停電できる時間と養生の範囲を先に決める
鉄骨・構造物 設備の架台、歩廊、階段、手すり 高い所は足場や高所作業車が要る。溶接部・端部から錆が出やすい

配電盤・キュービクルの塗装は、配電盤塗装の基本と配電盤の錆は再塗装で止まる?キュービクルを含む盤の錆の段階と見極め方で詳しく解説しています。

設備塗装の対象の例|ろ過装置のタンクにつながる配管とバルブ類。下塗りを終えた状態

設備塗装の目的

設備塗装の目的は、見た目を整えることだけではありません。主な目的は次の4つです。

  • 防錆・防食:鋼材を水と酸素から遮り、錆と腐食の進行を抑えます。設備塗装でいちばん大きな目的です。
  • 使用条件への対応:水に浸かる、薬品や油がかかる、高温になるといった条件に合わせて、耐水性・耐薬品性・耐熱性のある塗料で塗膜を作ります。
  • 識別・安全表示:配管の中を流れる物を色で示す識別表示(JIS Z 9102)や危険箇所の表示のように、色そのものに意味を持たせる塗装もあります。
  • 出荷前の外観:新しく製作した装置を納める前に、発注元の指定色で仕上げる塗装です。

設備塗装の塗料・工法が決まる5つの条件

同じ配管でも、屋内か屋外か、何が流れているか、いつ止められるかで、塗料も工程も変わります。設備塗装の仕様は、主に次の5つの条件で決まります。

設備塗装とは、5つの条件で塗料と工法が決まる塗装|素地、使用環境、稼働を止められる時間、色・仕様書・膜厚の指定、今の塗膜の状態から、下地処理・塗料・塗り回数・施工の場所・検査の方法が決まる図

1. 素地(何でできているか)

素地によって、下地処理と下塗りの塗料が変わります。

  • 鉄・鋼:錆と浮いた塗膜を落とし、防錆の下塗りを塗ります。
  • 亜鉛めっき鋼:めっき面は塗料が密着しにくいため、めっき面に合った下塗りを選びます。
  • アルミ・ステンレス:表面が滑らかで塗料が付きにくいため、目荒らしをしてから専用の下塗りを塗ります。
  • すでに塗装されている面:今の塗膜の種類と、上に塗る塗料の相性を確認します。

2. 使用環境(何にさらされるか)

  • 屋外:紫外線と雨にさらされるため、上塗りには耐候性のある塗料(ウレタン樹脂系など)を使います。
  • 水に触れる・結露する:防食性と耐水性の高いエポキシ樹脂系の塗料が候補になります。
  • 薬品・油がかかる:かかる物の種類を確認し、それに耐える塗料を選びます。
  • 高温になる:表面の温度に合わせて耐熱塗料を選びます。

エポキシ樹脂系の塗料は防食性に優れる一方、紫外線を受けると表面が粉を吹きやすくなります。そのため屋外では、エポキシ樹脂系で下塗りし、ウレタン樹脂系などで上塗りする組み合わせがよく使われます。

3. 稼働を止められる時間

塗料は塗ってから乾くまで時間がかかり、重ね塗りの間隔も決まっています。止められる時間が短い場合は、乾燥の早い塗料を選ぶ、範囲を区切って何回かに分けて塗る、取り外せる部品は持ち帰って塗る、といった組み方を考えます。工場の休止日に合わせた施工も、条件によってご相談いただけます。

4. 色・仕様書・膜厚の指定

色番号(日本塗料工業会の色見本番号やマンセル値など)、発注元の塗装仕様書、膜厚の指定がある場合は、それに合わせて塗料・塗り回数・検査の方法を決めます。膜厚の指定がある案件では、工程ごとに膜厚計で測って記録を残します。指定がない場合も、使用環境に合った塗り回数をご提案します。

5. 今の塗膜の状態

塗り替えの場合は、錆がどこまで広がっているか、塗膜が剥がれたり浮いたりしていないかで、下地処理の手間と塗る範囲が変わります。傷みが一部だけなら、部分補修で済むこともあります。部分補修で済むか塗り替えが要るかの判断は、リペア塗装か塗り替えか|素材と劣化の状態で決める判断のポイントで解説しています。

腐食が進んで鋼材がやせた、穴があいたといった状態は、塗装だけでは直りません。部材の補修や交換を先に行う必要があります。

設備塗装の基本の工程

設備塗装は、おおむね次の順で進めます。塗料の種類や指定によって、塗り回数は変わります。

  1. 素地調整:ケレンで錆・浮いた塗膜・汚れを落とし、油分は脱脂します。塗装の持ちを大きく左右する工程です。
  2. 下塗り:防錆と、素地への密着を受け持つ塗料を塗ります。
  3. 中塗り:塗膜に厚みをつけ、上塗りとの密着を良くします。
  4. 上塗り:色と艶を出し、紫外線や汚れから塗膜を守ります。
  5. 検査:塗り残し・ムラ・垂れがないかを確認し、指定がある場合は膜厚を測ります。

設備塗装の素地調整(ケレン)|タンクの配管の付け根まわりを手作業でケレンしている様子

塗り上がった塗膜は、中が何層で、それぞれどれだけの厚みが付いているかを後から確かめられません。膜厚の指定がある案件では、工程の途中で膜厚を測り、写真と一緒に記録します。

膜厚の管理|下塗り1回目のあとに電磁膜厚計で膜厚を測り、工程を書いた黒板と一緒に記録している様子

配管の塗り替えでの工程の例

製造業の工場で、配管を塗り替えた例です。

  • 施工前:配管全体に錆が広がり、一部は腐食による漏れが心配される状態でした。
  • 施工内容:ケレンで錆を落とし、防錆の下塗り、中塗り、上塗りの順に塗装しました。上塗りには高耐候性のウレタン塗料を使っています。
  • 施工後:見た目が大きく改善し、点検での指摘はゼロになりました。保守管理もしやすくなっています。

持ち帰って塗るか、現地で塗るか

設備塗装では、どこで塗るかも仕様の一部です。

観点 取り外して持ち帰って塗る 設置したまま現地で塗る
向いているもの 取り外せる部品、小型の装置、カバー類 移動できない大型機械、配管、タンク、盤類、架台
よいところ 吊るして全周を塗れる。焼付・粉体塗装も選べる。乾燥を管理しやすい 取り外し・運搬・再組み付けが要らない。設備を止める期間を短くできることがある
注意すること 取り外し・運搬・組み付けの段取りと、その間の設備の扱い 周りの養生、換気と火気の管理、常温で乾く塗料に限られる、作業できる時間の制約

移動できない設備を現地で塗るときの可否と、安全・品質の考え方は、機械の出張塗装とは?動かせない機械を現地で塗る判断と工程で解説しています。現地での施工は出張塗装サービス、持ち帰って焼付・粉体で仕上げる場合は焼付・粉体塗装のページもご覧ください。

現地で塗る出張塗装の進め方と、持ち込み塗装との違いは出張塗装とは?持ち込み塗装との違いと、向く設備・依頼の流れで解説しています。

設備塗装を依頼するときに用意してほしい情報

次の情報があると、塗れるかどうかと、おおよその仕様・費用を早くお伝えできます。分かるものだけで構いません。

  • 写真:設備の全体(引き)と、錆・剥がれなど傷んだ箇所(寄り)
  • 図面または寸法:大きさ・重さ、塗る範囲
  • 素地と今の塗装:鉄・亜鉛めっき・アルミ・ステンレスなど。分かれば今の塗料の種類
  • 使用環境:屋内か屋外か、水・薬品・油・熱がかかるか
  • 止められる時間:停止できる日数、作業できる曜日・時間帯
  • 指定:色番号、塗装仕様書、膜厚の指定の有無
  • 希望の時期:完了してほしい日、設備の停止予定

株式会社ユーコーの設備塗装と施工事例

株式会社ユーコーは、大阪府大東市を拠点に、工場・プラントの設備・機械塗装を行っています。産業機械やプラント設備、配管・タンク、盤類、構造物まで、素地と使用環境に合わせて塗料と工程を組み、移動できない設備は現地に伺って塗装します。仕様書や膜厚の指定がある案件にも、工程ごとの記録を残して対応しています。

当社の施工事例から、設備塗装の考え方に近いものを紹介します。

ほかの事例は施工事例の一覧でご覧いただけます。

設備塗装でよくあるご質問

設備を止めずに塗装できますか

塗る部分は、塗装から乾燥までのあいだ、触れたり、熱・振動・水がかかったりしない状態にしておく必要があります。稼働中のラインのそばで作業する場合は、範囲を区切る、休止日に合わせるといった方法を検討します。休日や夜間の施工にも条件によって対応していますが、時期や内容によってはお受けできない場合もあるため、早めにご相談ください。

発注元の塗装仕様書や膜厚の指定があっても頼めますか

ご相談いただけます。仕様書を先にお送りいただければ、塗料・工程・膜厚を確認したうえで、対応できるかどうかとお見積りをご回答します。工程ごとの写真や膜厚の測定記録が必要な場合も、あらかじめお知らせください。

小さな部品や少ない数でも頼めますか

部品の大きさや数にかかわらず、まずはご相談ください。分配弁の塗装では、手のひらに載る座金やリングも、一点ずつ吊って同じ工程で塗装しました。

塗り替えの時期はどう判断すればよいですか

年数よりも、塗膜の状態で判断します。錆・剥がれ・膨れ・色あせや、触ると白い粉が付くチョーキングが出てきたら、点検と塗り替えを考える時期です。点検の方法とメンテナンス計画の立て方は、工場の塗装メンテナンス|設備の劣化サインと塗り替え計画の立て方で解説しています。

まとめ:設備塗装とは、設備の条件に合わせて塗料と工法を決める塗装

  • 建築塗装との違い:対象は機械・配管・タンク・盤類など。防錆・防食に加えて、使用条件への対応と稼働への配慮が求められる。
  • 仕様を決める条件:素地、使用環境、稼働を止められる時間、色・仕様書・膜厚の指定、今の塗膜の状態の5つ。
  • 工程:素地調整→下塗り→中塗り→上塗り→検査。素地調整と膜厚の管理が持ちを左右する。
  • 施工の場所:取り外せるものは持ち帰って、移動できない設備は現地で塗る。

仕様が決まっていない段階でも、写真と分かる範囲の情報をお送りいただければご相談いただけます。

工場・プラントの塗装、設備機械の塗り替え、焼付・粉体塗装のご相談を承っています。
図面や現況写真をお送りいただければ、可否と概算のご回答が可能です。

お電話:072-800-8107(平日9:00〜17:30)
事業内容を見る

執筆:株式会社ユーコー(工場・設備の塗装と補修/大阪府大東市)

この記事の内容について相談する

対象物の写真と、おおよその寸法・数量をお送りください。工法と概算、現地調査が必要かをお返しします。

CONTACT

交換を決める前に、
一度ご相談ください。

傷んだ箇所の写真を送ってください。塗装で直せるか、交換が必要かを判断してお答えします。
元請・管理会社からのご依頼、相見積もりにも対応します。

お電話でのご相談072-800-8107平日 9:00〜17:30