
工場の塗装メンテナンスとは、工場にある盤やキュービクル、配管、手摺・階段などの鉄部、機械の塗膜を点検し、錆や剥がれが広がる前に補修や塗り替えを行うことです。設備を交換する前に塗装で外装を守り、使える期間を延ばすことが目的です。
この記事は、工場の保全担当の方や設備管理会社の方に向けて、塗装の劣化のサインと出やすい場所、補修・塗り替え・交換の判断の目安、塗装メンテナンスの計画の立て方を、当社の施工事例とあわせてまとめたものです。
工場の塗装メンテナンスとは|設備の塗膜を、傷みが広がる前に直す
工場の設備の塗装には、錆を防いで鋼材を守る役割と、見た目を保つ役割があります。塗膜が傷むと、そこから錆が進みます。塗装メンテナンスでは、傷みが小さいうちに錆を落として塗り直し、交換や大がかりな補修が必要になる前に手を打ちます。
当社で塗装メンテナンスを承っている主な対象は、次のとおりです。
- 盤・電気設備:キュービクル(外箱)、分電盤、配電盤、制御盤、高圧盤、操作盤
- 鉄部・設備:配管、ダクト、手摺・階段、鉄骨、シャッター・門扉、立柱看板
- 工場の付帯部:工場床(防滑・ライン)、鋼板の外装、機械室の内装
- 機械・設備:据え付けた機械、タンク・ろ過装置など
盤の場合、筐体に穴あきや大きな変形がなければ、錆を落として塗り直すことで外装を延命できる場合があります。交換には予算・工期・停電の調整がかかるため、まず外装の状態を見て、再塗装で足りるかを判断します。
工場の設備で塗装が傷みやすい場所と劣化のサイン
屋外の盤は、雨水がたまる扉の下端や脚部、溶接部から錆が進みます。見回りのときは、次のサインと場所を見ておくと、傷みを早めに見つけられます。

| 劣化のサイン | 出やすい場所 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 色あせ・艶引け | 日の当たる屋外の盤・配管 | 下塗りと上塗りで再塗装し、見た目と塗膜を戻す |
| 点状の錆 | 扉の下端・脚部・溶接部・ボルトまわり | 錆を落として補修塗料で抑え、部分的に塗り直す |
| 錆の広がり・塗膜の浮きやめくれ | 盤の外箱、鉄部の広い範囲 | ケレンで錆と傷んだ塗膜を落とし、防錆の下塗りから塗り直す |
| 薬品や水による傷み | 薬品を使う場所の近くの盤・設備 | 使われる環境に合う塗料の仕様で塗り替える |
| 穴あき・大きな変形 | 腐食が進んだ筐体 | 塗装だけでは直せないため、板金補修や交換を検討する |
劣化の原因が薬品の場合、通常の屋外盤と同じ仕様で塗り直すと、同じ環境の中で再び傷みが進むおそれがあります。塗り直すときは、傷みの原因に合わせて塗料の仕様を選ぶことが大切です。

※画像はイメージです
補修か、塗り替えか、交換か|判断の目安
傷みを見つけたら、どこまで手を入れるかを決めます。考え方は次のとおりです。
- 部分補修:傷みが一部に限られている場合。錆が出た部分を落として補修塗料で抑え、周りの色に合わせて塗り直します。
- 全面の塗り替え:錆や色あせが全体に広がっている場合や、補修した部分と周りの色の差をなくしたい場合。全体を同じ仕様で塗り直します。
- 板金補修・交換:筐体に穴があいている、大きく変形しているなど、塗装だけでは直せない場合。
部分補修と塗り替えの選び方はリペア塗装か塗り替えか|素材と劣化の状態で決める判断のポイント、補修塗装の工程は補修塗装とは?塗り替えとの違いと工程、補修できる範囲で解説しています。
工場の塗装メンテナンスの計画の立て方
工場には塗装が必要な設備が多くあり、傷みの進み方もそれぞれ違います。思い立ったときに1か所ずつ頼むより、計画を立てて進めるほうが、止める時間や手配の手間をまとめられます。

- 設備の一覧と写真をつくる:塗装が必要な設備と場所を書き出し、劣化の様子を写真に残します。同じ場所を同じ向きで撮っておくと、次に見たときに変化が分かります。
- 優先順位を決める:錆が広がっているもの、屋外や薬品・水がかかる環境にあるもの、止めにくい設備の周りなどを先にします。
- 時期と範囲をまとめる:工場の停止日や休止日に合わせ、近くにある設備はまとめて施工します。離れた場所に点在する設備も、まとめて任せていただければ回る順番を組んで施工します。
- 記録を次の判断に使う:使った塗料と工程の写真を残しておくと、次の塗り替えのときに、前回の仕様と傷み方を見比べて判断できます。
当社の事例でも、以前に一部を補修した屋外キュービクルについて、次の機会に全体を同じ色で塗り替え、補修した部分との差をなくしたことがあります。設備や機械に使う塗料・工法がどう決まるかは設備塗装とは?建築塗装との違いと、塗料・工法が決まる条件で解説しています。
止めずに塗るための段取り
盤の塗装でまず決めるのは、どこまで止める必要があるかです。外箱の塗装は、通電したまま行える場合があります。当社では現地調査で、作業できる時間帯、停止が必要な範囲、養生の範囲、立会いの要否を確かめ、お見積書に記載してから着工します。
- 盤内部の電気機器・配線の点検や交換は行いません。電気工事会社さまと分担して進めます。
- 通電中の盤で作業できる範囲は、管理者さま・電気主任技術者さまの条件に合わせて決めます。
停電が必要な盤の段取りは配電盤の塗装で停電を最小限にする段取り|通電したまま塗れる範囲と決め方、据え付けた機械を現地で塗るときの判断は機械の出張塗装とは?動かせない機械を現地で塗る判断と工程で解説しています。
キュービクルの塗装を、年次点検の停電日に合わせて計画する方法と、電気側との分担はキュービクルの塗装|年次点検の停電に合わせた計画と、発注前に決めることで解説しています。
工場の塗装メンテナンスの施工事例
当社の施工事例から、盤・設備の塗装メンテナンスの例を紹介します。
- 屋外キュービクルを塗装!電気を止めずに錆止め塗装で寿命を延ばすメンテナンス:稼働中の屋外キュービクル1機を、通気口や隙間から塗料が入らないよう保護したうえで、電気を止めずに錆の補修から上塗りまで行った事例です(工期3日)。
- 信頼のリピート施工!工場内屋外キュービクルの全体塗装で美観を統一:以前に一部を塗装した屋外キュービクルを、前回の塗装部分との差がなくなるよう全体で塗り替えた事例です(工期4日)。
- キュービクルの耐薬品塗装|薬品で傷んだ屋外盤を外面・内面とも塗り替え:薬品の影響で錆と塗膜の傷みが進んだ屋外キュービクル1基を、外面・内面とも耐薬品塗料の仕様で塗り替えた事例です(現地調査1日・作業3日)。
- 配電盤の色褪せ・ツヤ引けを解消!機能保護を徹底した再塗装事例:色あせ・艶引けした配電盤1面を、下塗りと上塗りで再塗装した事例です(工期1日)。
- 雨水排水ポンプ制御盤2基の補修塗装|官公庁の下水道設備:官公庁の下水道設備の制御盤2基を、協力会社としてケレン・下塗・中塗・上塗で補修した事例です(実働4日、総膜厚75μm)。
ほかの事例は工場メンテナンスの施工事例でご覧いただけます。
工場の塗装メンテナンスを依頼するときに伝えること
次の情報があると、塗装で対応できるかと、進め方・概算を早くお伝えできます。分かるものだけで構いません。
- 対象:盤・配管・鉄部・機械などの別と、おおよその大きさや数
- 写真:設備の全体と、錆や剥がれなど傷んだ部分の写真
- 環境:屋内か屋外か、薬品や水がかかるか
- 時期:止められる期間や、作業できる時間帯
- 色:指定色(マンセル値・色番号)や、そろえたい既設の設備
写真からは、概算までをお伝えできます。正式なお見積りは、現地調査で作業時間帯や養生の範囲などを確かめてからお出しします。
配管・手摺・鉄骨などの鉄部塗装を依頼する前に、塗る範囲・錆の状態・作業条件・色をどう決めておくかは工場の鉄部塗装を依頼する前に決めること|範囲・錆の状態・作業条件と色で詳しく解説しています。
株式会社ユーコーの工場の塗装メンテナンス
株式会社ユーコーは、大阪府大東市を拠点に、工場の盤・キュービクル・配管・鉄部の盤・設備メンテナンス塗装、機械やタンクなどの設備・機械塗装を承っています。動かせない設備は出張塗装で現地に伺い、全国に対応しています。損害賠償保険にも加入しています。建屋の鋼板の外壁の塗り替えは工場の外壁の塗り替え|鋼板外装の劣化チェックと、稼働中に塗る進め方、屋根の塗り替えは工場の屋根の塗り替え|折板・波板の錆と雨漏りを点検してから塗る進め方、内壁の塗装の費用と稼働中に塗る段取りは工場の内壁塗装の費用はどう決まる?見積りが変わる条件と、稼働中に塗る段取りで解説しています。
工場の塗装メンテナンスでよくあるご質問
キュービクルは、交換と再塗装のどちらがよいですか
筐体に穴あきや大きな変形がなければ、再塗装で外装を延命できる場合があります。写真と現地調査で判断し、交換をおすすめする場合はそのようにお伝えします。
電気を止めずに塗装できますか
外箱の塗装は、通電したまま行える場合があります。屋外キュービクルを電気を止めずに塗装した事例もあります。作業できる範囲は、現地で管理者さまと取り決めます。
盤1面だけでも頼めますか
ご相談ください。配電盤1面を1日で塗り替えた事例があります。
色は指定できますか
マンセル値や色番号のご指定に合わせて調色します。増設した盤と既設の盤の色をそろえるご相談も承ります。
まとめ:工場の塗装メンテナンスは、傷みが小さいうちに計画して進める
- 工場の塗装メンテナンスとは:盤・配管・鉄部・機械などの塗膜を点検し、錆や剥がれが広がる前に補修や塗り替えを行うこと。
- 劣化のサイン:色あせ・艶引け、点状の錆、錆の広がりや塗膜の浮き、薬品や水による傷み、穴あき・変形。屋外の盤は扉の下端や脚部、溶接部から錆が進む。
- 判断の目安:一部なら部分補修、全体に広がっていれば塗り替え、穴あきや変形は板金補修や交換を検討する。
- 計画:設備の一覧と写真をつくり、優先順位を決め、時期と範囲をまとめ、記録を次の判断に使う。
どこから手を付けるか決まっていない段階でも、設備の全体と傷んだ部分の写真をお送りいただければご相談いただけます。
工場・プラントの塗装、設備機械の塗り替え、焼付・粉体塗装のご相談を承っています。
図面や現況写真をお送りいただければ、可否と概算のご回答が可能です。
お電話:072-800-8107(平日9:00〜17:30)
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執筆:株式会社ユーコー(工場・設備の塗装と補修/大阪府大東市)